バブル景気崩壊後の長引く不況の中で、エンジニアの需要は供給を上回る状態が続いており、今後も人材不足が深刻化すると懸念されています。そのためエンジニアになるために、大学や専門学校などで一定の期間体系的に勉強することなく、人材派遣会社などが行う研修を受けて、わずか数か月で現場に立つということもあるようです。エンジニアの仕事は、現場で柔軟な対応を求められることも多く、机上の詰め込み学習に長時間を費やしても、すべてを知り尽くすことは難しいのです。その一方でゲーム制作に携わるエンジニアなどは、独学でも優れた実力を持った強者がしのぎを削る世界です。従ってエンジニアになる方法は人それぞれであって、そこから主体的能動的に仕事を進められることが、優秀なエンジニアの条件になるのです。
エンジニアとしての仕事に就く前に、学校に入って基礎的な知識を学習するのは、ごく一般的です。最も高度なレベルを求めるのであれば、大学で学ぶと良いでしょう。専門学校は入学試験などを設けない場合もあり、入学者のレベルにばらつきがあって、授業内容を物足りなく感じるかもしれません。またハローワークの紹介する職業訓練校を利用するという手もあります。職業訓練校であっても、最近はスマホアプリやWeb開発など、即戦力としての技術が身に付きます。もっとも学校という一定のカリキュラムに沿って学習する場合であっても、基礎を理解した後は、独学を進めることになるため、入り口はあまり問題ではないとも言えます。
また基礎知識もなく、いきなりプログラマとして採用されるということもあります。企業によっては人材不足から、研修などを通じてある程度教育することを前提に、未経験でも広く受け入れている場合があります。現場で仕事をしながらプログラマのイロハを学ぶというのは、相当な覚悟を持って臨まなければならなりません。しかしそれでも分からないことは周囲に聞きながら、貪欲に知識を習得することによって、短期間で成長するチャンスとなるのです。
あるいは書籍やWebサイトから、独学でプログラミングを学ぶという方法もあります。最近ではオンライン上で、プログラミング学習のためのサービスが提供されています。独学であれば、自分のペースで学習が進められて、効率が良いというメリットがあります。もちろん疑問点を解消するのには若干苦労するかもしれませんが、プログラミングの入門書を1冊読んでみて、理解できるようであれば、どんどん学習を進めてみると良いでしょう。ただし独学で身に付けた知識やスキルは、外部からは分かりにくいため、エンジニアとして就職するに際しては、Web上に自分の制作したソフトウェアやWebサービスを公開しておくと、実力の証明になります。
データベースエンジニアにとって、専門資格は取って損がないどころか、取らなければ仕事にならない、という場合もあるほど重要です。国家資格には、「情報処理技術者試験」がありますし、ベンダー資格の中でも知名度が高い「オラクルマスター」は、Oracle製品を扱う企業の多くで必須です。また「OSS-DB技術者認定試験」は、特定の企業や製品に特化したものではないものの、今後OSS製品を扱う企業が増えるにつれて、重要度が高まりそうです。
転職活動は、在職中から始めるのが鉄則とはいえ、現実問題として悩ましい状況を生みます。いまだ採用とは決まっていない面接の段階では、やたら権利の主張ばかりするような印象を与えるのは、得策ではありません。しかし収入についてあまりはっきりとは示されていない場合や、あるいは現職よりも下がりそうな場合に、内定後であれば、多少交渉の余地はあるかもしれません。もっとも大抵の企業は給与の査定基準を定めており、また転職当初は下がっても実績を上げれば評価も自ずと高くなるものです。
データベースエンジニアの収入は、平均的には20代の340万円から40代の600万円というのが一応の目安ですが、もちろん年齢や経験や資格の取得などに応じて推移します。その上ボーナスの支給もありますが、残業代の支払いは会社によって異なるようです。労働環境が厳しいといわれるITエンジニアの中でもデータベースエンジニアは、一月の残業時間が100時間を超えることが珍しくない上に、忙しければ月160時間に及ぶなど、相当の覚悟が必要です。