エンジニアにとって知識を持っていることと、仕事ができることとは別です。しかし今や現場経験を持つ即戦力としての転職者は、引っ張りだこであり、未経験者であっても企業は採用しています。この未経験者である場合には、企業で独自の研修を受けさせるなどの、教育を行うことが多いようですが、基礎知識を持っているかどうかは、資格などで判断せざるを得なくなります。また勤める会社によっては、人事評価上、入社後の資格の取得を奨励している場合もあるようです。なおデータベースエンジニアの資格には、国家資格から民間の資格まで、様々な種類があります。
まず「情報処理技術者試験」は、経済産業省が認定する国家資格であり、4つのレベルに分かれています。最も基礎的なレベル1の「ITパスポート試験」は、IT技術者として必要不可欠な最低限の知識レベルを問うもので、職種に関係ありません。レベル2の「基本情報技術者試験」とレベル3の「応用情報技術者試験」は、ITエンジニアとしての実践的なスキルや知識を問われるもので、一般的にもシステムエンジニアの登竜門と認識されています。このレベル1からレベル3までが、情報処理全般の知識を問うものであるのに対し、レベル4の「高度情報処理技術者試験」は、いくつもの専門分野に分かれています。その中でも「データベーススペシャリスト試験」は、データベースに関わるすべてにおいて、中心的業務を担うことができる高度専門的な知識やスキルを問うものとなっています。
【情報処理技術者試験】
データベースエンジニアにとって、得意とする特定の製品に関する知識は重要です。中でも知名度が高いのが、日本オラクル社の認定する「オラクルマスター」であり、Oracle製品を対象とするデータベースのベンダー資格です。この「オラクルマスター」は、Oracle製品を使用する企業において、採用条件とされる場合も多いのです。「オラクルマスター」の認定方法は、データベース管理者、アプリケーションサーバー管理者、開発者というカテゴリごとに異なっているのが特徴で、更にBronze、Silver、Gold、Platinumという4つのレベルに分かれていますが、下位資格の取得が上位資格の受験要件となっていることから、下から順に取得しなければなりません。
【オラクルマスター】
また「OSS-DB技術者認定試験」は、NPO法人エルピーアイジャパン(LPI-JAPAN)の主催する資格です。レベルはSilverとGoldに分かれており、いずれも特定の企業や製品に特化していません。OSS(Open Source Software)製品を現に使用している企業や、OSSへの切り替えを検討している企業も多い中で、今後重視度がアップしそうです。
【OSS-DB技術者認定資格】
データベースエンジニアにとって、専門資格は取って損がないどころか、取らなければ仕事にならない、という場合もあるほど重要です。国家資格には、「情報処理技術者試験」がありますし、ベンダー資格の中でも知名度が高い「オラクルマスター」は、Oracle製品を扱う企業の多くで必須です。また「OSS-DB技術者認定試験」は、特定の企業や製品に特化したものではないものの、今後OSS製品を扱う企業が増えるにつれて、重要度が高まりそうです。
転職活動は、在職中から始めるのが鉄則とはいえ、現実問題として悩ましい状況を生みます。いまだ採用とは決まっていない面接の段階では、やたら権利の主張ばかりするような印象を与えるのは、得策ではありません。しかし収入についてあまりはっきりとは示されていない場合や、あるいは現職よりも下がりそうな場合に、内定後であれば、多少交渉の余地はあるかもしれません。もっとも大抵の企業は給与の査定基準を定めており、また転職当初は下がっても実績を上げれば評価も自ずと高くなるものです。
データベースエンジニアの収入は、平均的には20代の340万円から40代の600万円というのが一応の目安ですが、もちろん年齢や経験や資格の取得などに応じて推移します。その上ボーナスの支給もありますが、残業代の支払いは会社によって異なるようです。労働環境が厳しいといわれるITエンジニアの中でもデータベースエンジニアは、一月の残業時間が100時間を超えることが珍しくない上に、忙しければ月160時間に及ぶなど、相当の覚悟が必要です。