エンジニアの仕事は、一人で完結できるものというよりは、プロジェクト単位で動くことが通常です。そのため転職を考えていても、在職中から活動する場合には、退職の時期が問題になります。エンジニアはどこも人手不足であり、企業も緊急に求めている場合が少なくないとはいえ、仕事を辞めてから転職先を探すのは、相当なリスクがあります。売り手市場であっても競争が激しく、また求められるレベルも高いので、辞めてもすぐに次が見つかるといった甘い期待はできません。そこで在職中から転職先を探しておいて、内定を得てからお互いの条件を詰めるということになるのです。
まずどのような形で、転職先の企業を選ぶのかにもよりますが、ヘッドハンティングをされる場合であればいざ知らず、そうでなければ転職希望者の方がハローワークや転職サイトや、あるいは友人知人の伝手を辿るといった様々な方法で、エンジニアの募集をしている企業の情報を集めて応募するのが通常です。
ハローワークや転職サイトであれば、最初に一定の条件を公開・提示するのが一般的であり、最低限必要とされる資格や経験年数や、ある程度の幅のある給与や残業時間などの他は、「委細は面接にて」となります。そして面接で好感触を得られた場合に、双方にとって重要になるのが、入社時期の問題です。転職活動をしていることを今の職場が承知しているのであれば良いのですが、内密に進めている場合には、いきなり辞める訳には行きません。正社員であれば、最低1か月前までに、また管理職などであっても3か月前までに申し出れば良いと言われていますが、円満に退職しようと思えば、引き継ぎなどある程度の時間を要すると見込んでおかなければなりません。企業によっては、参加して欲しいプロジェクトが既に開始しているなど、できるだけ早い入社を求める場合もあります。
従って内定先の企業の希望を確認しておき、今の職場で上司に退職の意思を伝えてから入社予定日を決めるまで、1週間ほどの猶予をもらって、必ず連絡を入れましょう。
そして面接で面と向かって聞きにくいのが、収入面のお話です。企業によっては入社から一定の期間は、経験年数や実績から弾き出して決めるという場合もありますし、また大雑把な基準を示すだけで、漠然としている場合もあります。あまりに自分の権利ばかりを主張するのは良くありませんが、今後の生活に直接的に影響するものであるだけに、確認はしっかりとしておくべきです。
仮に収入が下がるようであれば、内定取得後に交渉してみましょう。もっとも実力主義の世界では、実績が評価の基準であることを忘れてはなりません。たとえ転職当初は収入が減っても、実績を上げれば相応の評価を受けられるものです。
データベースエンジニアにとって、専門資格は取って損がないどころか、取らなければ仕事にならない、という場合もあるほど重要です。国家資格には、「情報処理技術者試験」がありますし、ベンダー資格の中でも知名度が高い「オラクルマスター」は、Oracle製品を扱う企業の多くで必須です。また「OSS-DB技術者認定試験」は、特定の企業や製品に特化したものではないものの、今後OSS製品を扱う企業が増えるにつれて、重要度が高まりそうです。
転職活動は、在職中から始めるのが鉄則とはいえ、現実問題として悩ましい状況を生みます。いまだ採用とは決まっていない面接の段階では、やたら権利の主張ばかりするような印象を与えるのは、得策ではありません。しかし収入についてあまりはっきりとは示されていない場合や、あるいは現職よりも下がりそうな場合に、内定後であれば、多少交渉の余地はあるかもしれません。もっとも大抵の企業は給与の査定基準を定めており、また転職当初は下がっても実績を上げれば評価も自ずと高くなるものです。
データベースエンジニアの収入は、平均的には20代の340万円から40代の600万円というのが一応の目安ですが、もちろん年齢や経験や資格の取得などに応じて推移します。その上ボーナスの支給もありますが、残業代の支払いは会社によって異なるようです。労働環境が厳しいといわれるITエンジニアの中でもデータベースエンジニアは、一月の残業時間が100時間を超えることが珍しくない上に、忙しければ月160時間に及ぶなど、相当の覚悟が必要です。