データベースエンジニアといえども、将来的なキャリアパスは、スペシャリストだけではありません。もちろんデータベースエンジニアの重要性は高まっており、また求められる役割も責任も大きなものとなっています。それぞれに得意分野を持っているのが通常であるため、スペシャリストとしての価値の希少性が高く、従って高度専門的な実力を持つデータベースエンジニアは高く評価されるのです。しかしその他にも、コンピュータが詰まる所、データの処理を目的としていて、あらゆるビジネスにデータ処理が不可欠である以上、データベースエンジニアとしての下地が活きる場は多岐に広がっているのであり、またそのスキルや知識は、インフラを支える重要なものとして魅力的に映っているのです。
データベースエンジニアの仕事のうちで、データ管理者としての役割は上流工程にあり、分析や設計を担当します。またデータベース管理者としての役割は中流工程以降にあって、実装・運用・保守に渡ります。いずれも得意分野を持つことにはなりますが、システム全体を俯瞰することのできる真のデータベースエンジニアであれば、そこから更にプロジェクトの指揮を任されることも夢ではありません。もちろんプロジェクトマネージャとしてプロジェクトを統括し、クライアントとの折衝に始まって、予算や人員を適宜配分し、スケジュールを組んで工程管理など、プロジェクトメンバーを上手く動かして行くという手腕は、一朝一夕で身に付くものではありません。
しかし最も根本となるデータを扱うデータベースエンジニアであるからこそ、優れたプロジェクトマネージャになることができるかもしれません。プロジェクトマネージャといえば、社内人事では管理職に相当し、従って実績に対する当然の評価として、年収は高めであり、中には1000万円を超える例もあるようです。
あるいは様々な段階における技術支援や、そもそものシステム化における問題解決や提案など、コンサルタントとして活躍するという道もあります。業界の動向や社会全体の大きな流れなどにも注意を払いながら、クライアントの経営戦略などを共有しつつ、鋭いビジネスセンスで、新規事業を企画提案したり経営改善策を練るなど、問題解決型の論理的思考が必要とされます。
またエンジニアとしてのスキルや知識を基に、クライアントやユーザーとより身近に接することになるため、高いコミュニケーション能力も求められるのです。そしてこのような高い能力を求められるITコンサルタントの年収は、業界でも高めであり、30代で635万円、40代で820万円という数字が挙がっています。
データベースエンジニアにとって、専門資格は取って損がないどころか、取らなければ仕事にならない、という場合もあるほど重要です。国家資格には、「情報処理技術者試験」がありますし、ベンダー資格の中でも知名度が高い「オラクルマスター」は、Oracle製品を扱う企業の多くで必須です。また「OSS-DB技術者認定試験」は、特定の企業や製品に特化したものではないものの、今後OSS製品を扱う企業が増えるにつれて、重要度が高まりそうです。
転職活動は、在職中から始めるのが鉄則とはいえ、現実問題として悩ましい状況を生みます。いまだ採用とは決まっていない面接の段階では、やたら権利の主張ばかりするような印象を与えるのは、得策ではありません。しかし収入についてあまりはっきりとは示されていない場合や、あるいは現職よりも下がりそうな場合に、内定後であれば、多少交渉の余地はあるかもしれません。もっとも大抵の企業は給与の査定基準を定めており、また転職当初は下がっても実績を上げれば評価も自ずと高くなるものです。
データベースエンジニアの収入は、平均的には20代の340万円から40代の600万円というのが一応の目安ですが、もちろん年齢や経験や資格の取得などに応じて推移します。その上ボーナスの支給もありますが、残業代の支払いは会社によって異なるようです。労働環境が厳しいといわれるITエンジニアの中でもデータベースエンジニアは、一月の残業時間が100時間を超えることが珍しくない上に、忙しければ月160時間に及ぶなど、相当の覚悟が必要です。