専門分化しているエンジニアの中でも、データベースエンジニアの業務内容には、情報処理技術者試験の「テクニカルエンジニア(データベース)試験」によれば、データ管理とデータベース管理との二通りが含まれます。そしてデータベース管理者(DA)としては、「情報システム全体のデータ資源を管理」し、一方のデータベース管理者(DBA)としては、「基幹データベースの構築と維持を行う」のであり、更に「個別システム開発の各工程(計画・分析・設計・運用・保守)において、データベース関連の技術支援を行う」ものと定義されています。
まずデータ管理者としての役割は、分析や設計といった上流工程を担当するものです。生の情報を分析することにより、「概念データモデル」及びシステム化領域を表現する「論理データモデル」を作成します。「概念データモデル」とは、システム化を求められている業務領域全体を表現するものであり、また「論理データモデル」とは、システム化領域を表現するものです。ただしこの作成のためには、対象となる業界の業務知識に加えて、それをモデリングするという専門スキルが必要となるのであり、データ管理者は、それぞれの得意分野を持っているのが通常です。
一方のデータベース管理者としての役割は、実装・運用・保守などの中流工程以降を担当するものです。つまり「論理データモデル」を基に、実装するデータベース製品に適合した物理データモデルを作り上げるのです。このためそもそもの「論理データモデル」を理解するために必要な業務スキルやモデリングスキルはもちろんのこと、更に実装するデータベース製品に関する深い知識とスキルが必要になります。そのためデータベース管理者もやはり、それぞれに得意とするデータベース製品をいくつか持っているものです。
ここで初期のコンピュータが、データの機械的処理を大規模に行うという、現実的な欲求に従って導入されたという経緯から、現場ではアプリケーション単位でデータが管理されている縦割りのシステムを見かけます。個々のアプリケーションで必要とされるデータが、全体としては重複してしまい、無駄が生じているのです。もちろん基幹系などでは、当初からデータ中心の考え方が徹底されており、従って一つのデータベースがすべての業務プロセスを賄うというように統制されています。しかしそうではなく場当たり的な集積では、もはや効率的とは言い難く、今後は個々のアプリケーションを横断する、統一的なデータベース設計という発想が不可欠になるのです。つまりシステム全体を俯瞰できる、真のデータベースエンジニアに対するニーズが高まっているのです。
データベースエンジニアにとって、専門資格は取って損がないどころか、取らなければ仕事にならない、という場合もあるほど重要です。国家資格には、「情報処理技術者試験」がありますし、ベンダー資格の中でも知名度が高い「オラクルマスター」は、Oracle製品を扱う企業の多くで必須です。また「OSS-DB技術者認定試験」は、特定の企業や製品に特化したものではないものの、今後OSS製品を扱う企業が増えるにつれて、重要度が高まりそうです。
転職活動は、在職中から始めるのが鉄則とはいえ、現実問題として悩ましい状況を生みます。いまだ採用とは決まっていない面接の段階では、やたら権利の主張ばかりするような印象を与えるのは、得策ではありません。しかし収入についてあまりはっきりとは示されていない場合や、あるいは現職よりも下がりそうな場合に、内定後であれば、多少交渉の余地はあるかもしれません。もっとも大抵の企業は給与の査定基準を定めており、また転職当初は下がっても実績を上げれば評価も自ずと高くなるものです。
データベースエンジニアの収入は、平均的には20代の340万円から40代の600万円というのが一応の目安ですが、もちろん年齢や経験や資格の取得などに応じて推移します。その上ボーナスの支給もありますが、残業代の支払いは会社によって異なるようです。労働環境が厳しいといわれるITエンジニアの中でもデータベースエンジニアは、一月の残業時間が100時間を超えることが珍しくない上に、忙しければ月160時間に及ぶなど、相当の覚悟が必要です。